番外編−その9

2001/06/18

ミーちゃんハーちゃん
本当は行きたくなかったんですがねぇ...

************ 以下本文 *************

ルイ・ヴィトンの財布が欲しいという友達がいまして、あまり気が
進まなかったのですが行ってきました。

あの店の行列は凄まじいのは知っていますので、その中にわざわざ
混ざりに行くのは時間の無駄でしかないと思っていました。

しかし友達の頼みを断るわけにも行きません。


ルイ・ヴィトンの店は2軒ある筈ですが、比較的空いている方の店
がどこだったか忘れてしまいましたので、しかたなく超混んでいる
方に行くしかありません。

シャン・ゼリゼ通りに面したその店の前に着いたのは昼の12時に
ちょっと前でした。

うわーっ凄っ! 200人は並んでいる!! これに加わるのかよ。

けっして大袈裟ではなく本当にそれだけ並んでいるのです。 正確
に数えたら、きっともっといたと思います。

しばらく躊躇しましたが、せっかくそこまで来たのだし、その友達
の頼みだし、ということで並ぶことにしました。

動機がなんであれ、これでその辺にいるミーちゃんハーちゃんと同
じになってしまいました。

その時の時刻は12時ちょうど。


列はまったく動きません。 店の中の様子もまったく見えません。

いらいらしてもどうしようもないと覚悟を決めて、列に並んでいる
人達を観察することにしました。

並んでいる人達の半分は東洋人、その他はヨーロッパ、中東あたり
の人でしょうか、アメリカ人もいるようです。 日本人だけに人気
があるのではないようです。

しばらく観察を続けていて、どうもその東洋人は日本人ではないこ
とに気がつきました。

垢抜けない格好をして、少し間の抜けた顔をしています。 つまり
東洋人とは香港、台湾、韓国あたりの人達のようです。

よく見ると、日本人はほとんどいません。 200人中に10人も
いなかったと思います。

日本人はどうしちゃったのでしょうか?  その日はたまたまいな
いのでしょうか?

うーん、理由は分かりませんが、たまたまツアーの催行されない日
だったのか、まだ来ていないのか。 とにかく不思議なほど日本人
がいないのです。

もっとよく見ていると、通りを歩いている人達にも、日本人が見当
たりません。 私は外国で日本人を見るとがっかりする性質なので、
その時はなんか意味もなく安心しました。


そんなことを繰り返しているうちに、1時間50分が経過し、よう
やく店の中に入ることができました。 1時間50分でっせ!

しかし、この店の凄まじさはそんなものではありませんでした。

なんと、店の中にもまた列があるのです!!

とにかく並ぶしかありません。


ただこちらの列は店の中であるため、範囲は限られますが、店内の
様子を見て楽しむことができます。

まぁ女性であれば何を買おうかと陳列棚を見回わすのでしょうが、
それは私の楽しみとはなりません。

私はどのような客が何をどのようにして買うのか興味があるのです。


この店には接客コーナーが10ヶ所ほど設けてあり、各コーナー毎
に接客係がいます。

どこかの接客コーナーが空いたら、待ち行列の先頭の客がそこへ行
って、あれやこれやの買い物が始まる仕組みになっているようです。


観察開始。

凄いねぇー、どの客も軽く1時間以上かけて、まずこのバッグ、次
はまた別のと、次から次に商品を出させて、手に取っては考えて、
もっと見せろという具合にやっています。

やっとバッグが決まると、次は財布、次は何、というふうに延々と
やっています。

それを台湾かどこかの野郎とか、香港からの新婚らしき奴等とか、
そういった連中が、拙い英語で店員とやりあっているのです。

これでは列が進むわけがありません。  でも、こいつらいったい
いくら遣うつもりなんでしょう? よくそんな金持ってるね!?

そもそもバッグなんか、今身につけてるのじゃダメなの?

おっと、これは愚問というやつですか。


彼らを観察していて、ひとつ「やばっ」と思うことに気づきました。

どの客も、買う時にパスポートを提示しているのです。

うーん、確かに免税の手続きに必要なんでしょう。

しかし、私は持って来ていません。

こんなに待って、挙句の果てはパスポート持ってませんって退散か
ぁ、という光景が頭をかすめます。

そんなの、ツッカケ以来の、いやそれ以上の大チョンボじゃん!

そうなる前に自ら帰った方が格好はつく。 しかし、ここまで並ん
だし、それに必須と決まったわけじゃない。 私は並び続けること
にしました。

その辺を歩いている店員に聞けば明白になりますが、その様子を周
りの客に聞かれる心配があります。

必須だった場合、その場の全員の笑いの者になってしまいます。

一方で自分の番が来てからだと、対応している店員一人にだけ、こ
っそり、さりげなく聞くことができます。

必須と分かっても、それを理由とせず、気に入った品がないなどの
理由を語ることもできます。

後者しか選ぶ道はないのです。


結局、店の中でも、また1時間10分待ち、外と合わせて3時間も
待って、ようやく私の番になりました。

しかしこの3時間立ちっぱなしだった私は、持病の腰痛を意識せず
にはいられませんでした。 事実、腰にかすかな痛みがあります。

ここで腰痛を起こたら、しかも仕事以外のショッピングでなんてい
うことになったら、それこそ笑い者です。 なんとか乗り切るしか
ありません。


まずは「財布欲しいんだけど」と言って、カタログを見せてもらい
ます。

財布の型を指定して「これのピンクある?」と聞きます。 そう、
友達はピンクを所望していたのです。

「ピンクは2年前までは作っていたけど今は製造止めた」「今ある
のはこの色」と言って、今在る全ての色を見せてくれました。

ないんじゃ、しょーがない。 「もう売ってなかった」といって済
ませるのは間単ですが、せっかく来て並んだのですから、いちおう
赤いのを買うことにしました。

その友達が要らないというなら、他にもらってくれる友達はいっぱ
いいます。


ここでさりげなく聞きました。 「えーっと、パスポート要るんだ
っけ?」

「買うのはこれだけ?」「そう」「支払いはどうする?」「クレジ
ット・カードで」「なら要らないよ」 あーっ良かった。

チョンボはツッカケだけで済んだ。

私のショッピングはこれでお終い。 この後、顧客カードの作成や
ら支払いの手続き(レジ打ち、サイン)に少々時間を要したものの、
店員がついてからわずか15分で完了。

さっさと品物を持って店を出た。 この潔さ、カッコいい!!


ほとんどの客は、ロゴの入った大きな紙袋をいくつも抱えて店を出
て来るのですが、私はわずか10cm四方の小さな紙袋ひとつで店
を出ました。

きっと待ち行列の中の何人かは、そんな私を笑ったでしょう。

いいじゃないの、これだって立派なルイ・ヴィトンだぜ。

いや、そもそも、そんなの私には何の意味もない。

ただ私は友達との約束を果たしたのだ、ざまぁ見ろ。 テメエら、
まだまだ並んでろってんだ。

************ 以上本文 *************

まぁーしかし疲れました。

しばらく歩いて、既に15時半を過ぎていることに気づき、また昼
食も食べていないことに気づいたので、適当なレストランを見つけ
て入りました。

ウェイターとの会話は、全てフランス語でトライし問題なし。

ちょっと腰は痛いけど、約束果たしたし、フランス語は通じたし、
飯も食ったし、あとは寝るだけです。

ではまた来週。





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